”発泡酒”という言葉について少し。
こちら先日ついついネット通販で買ってしまったベルギービール。
デュポン醸造所という19世紀から続く伝統的なブリュワリーのものですが、
裏を見ると”発泡酒”の表記が。
こちらにも
やはり”発泡酒”。
日本で発泡酒というと、キリンやアサヒ等の大手メーカーが出している
「節税型発泡酒」を連想してしまいます。
節税型発泡酒というのは、簡単に言うと、ビールの母体となる麦芽の使用比率を
50%未満に抑え、代わりに米やとうもろこしなどをたくさん使うことで、
酒税額が安くなるというトリックを使ったもの。
対するこれらのベルギービールは、伝統的な製法に則って、フルーツや
スパイスが加えられているため、日本での販売上の表記が”発泡酒”となっています。
が、もちろん節税を狙ったものではなく、麦芽はふんだんに使われているため
酒税額はふつうの”ビール”とまったく同じです。
(よく見ると上の写真のらべるには麦芽使用率50%以上と書かれていますね。詳しく言うと麦芽使用率25%未満、50%未満、50%以上、と発泡酒の中でも3段階の税率があります。)
何だかややこしいのですが、これも日本の酒税法という
(世界的に見ると特殊な)法律のため。
そして我がヨロッコビールの取得する酒造免許も
「発泡酒免許」というものになるのですが、
これは、「ビール免許」を取得するためには年間最低6万リットルの
生産・販売を行なわなければならないのに対し、
「発泡酒免許」であればその10分の1の年間6千リットルからで
良いという事情によるもの。
ですのでヨロッコビールが販売するものも表記上は「発泡酒」となりますが、
もちろん麦芽100%。
その代わりと言いますか、スパイスやハーブ、時にはフルーツなどを
入れねばならないわけですが、そのさじ加減はBrewery次第。
表記が「発泡酒」とは言え、全く遜色ないものが仕上がると思います。
ただし、税額は普通のビールとまったく一緒。
なんだよ発泡酒なのに安くないじゃないか〜なんて言わないでくださいね。
そもそもは日本のビールにかかる酒税額のべらぼうな高さのなかで生まれた
”発泡酒”というジャンル。
それはそれで否定はしませんが、発泡酒=安酒というイメージもついてしまっているのも
また事実。
(日本のビールにかかる酒税額はドイツやアメリカの10~20倍!!
しかも海外ではウィスキーなどアルコール度数の高いものほど酒税が高くなる傾向があるのですが、
我が国はその逆でビールが一番ダントツに酒税が高いのです。。
酒税法の弊害については書き出すと長くなるのでまたの機会に。)
誤解なきよう、以上「発泡酒」に関する話題でしたー。
追記
ちなみに日本の「ビール」にも米やコーンスターチ等の副原料が使われていますが、
これは主にコスト削減と味わいのスッキリさを狙ったもの。
酒税法では麦芽を66%以上使っていれば「ビール」と謳ってよいことになっています。
対してドイツでは、16世紀に定められた「ビール純粋令」という条例
{ビールには、麦芽、ホップ、水、酵母以外のものは使用してはならない}が
今も生きており、伝統が守られています。
さすがビール大国!