add some ”Brett” to a few kegs of our Kin-kan(japanese citrus) Porter.
Brett(ブレタノマイセス):ご存知の方もいると思いますが、酵母の一種で、通常のビールに使われる酵母(サッカロマイセス)とはまた違ったキャラクターをビールにもたらします。
”Funky”あるいは”Funk”と形容されることも多いそのキャラクター。
よく使われるのは”馬の毛布”、”山羊”といった野生的な例えですが、”チェリーパイ”はたまた”トロピカル”といったものまで、その形容は様々です。
ブレタノマイセスの中にも、いくつかの種族があり、その使うタイミングや他の要素との組み合わせで、キャラクターは変わってきます。
顕微鏡で覗いてみると、普通の酵母とは見た目も少し違って長細い。
今年の金柑ポーター、去年のものより酸味を足して、現時点では甘酸っぱい仕上がりになっています。
そこにブレタノマイセスをさらに投入することで、より発酵が進み(ブレットはサッカロが消化できない糖類も食べてくれます)、それと同時にチェリーパイのようなふわっとした香りのニュアンスをつけてくれ、きれいな酸味とより複雑なニュアンスをもたらしつてくれればと。
ステンレス製のタンクや樽は空気を通しませんが、「木樽」は空気を通すため、その方がブレットの活動には都合が良いというのもあるのです。
そして活動が比較的ゆっくりなブレタノマイセス。
この樽たちも、ここから最低でも6ヶ月は飲むことはできず…。じっと我慢。
と、最近はこんなことばかり考えたりしております。
ミクロの世界は本当に興味深い。
ブレタノマイセスもそうですが、通常のサッカロマイセスにもたくさんの種類/種族?があって、それぞれが色々なキャラクターを持っています。
そんな酵母たちの活動と、麦やホップ、加える果実などがいくつものレイヤーを築き、それらが重なり合ってビールのフレーバーとなるのだと思います。
これはもはや、生きたアートフォームじゃないか?なんて思ったり。
ブレタノマイセスに興味を持った方は、ぜひベルギーのランビックというビールを飲んでみてください。
昨今は世界的に(特にアメリカのビアギークたちに)評価が高まり、入手困難になってきているそうですが、日本では大月酒店さん等が素晴らしいランビックを輸入販売されています。
(ついでに、以前僕が受けさせて頂いたインタビューも。http://www.ohtsuki-saketen.com/column/interviewseriesyoroccobeer.html)
よく伝統的な製法で、こんな複雑なものを造れたなあと思います。
よく伝統的な製法で、こんな複雑なものを造れたなあと思います。
(それに比して、近代の先端技術を凝らした大量生産ビールの味の単調なことよ…というのは蛇足ですね。)
そんなことを考えると、やっぱりビールって面白い。
つくづく懐の深い飲み物だと思います。
(ちなみに、ブレット版はまだ先ですが通常版の金柑ポーターは近日リリース予定です。
まずまずの仕上がりだと思います。)