2012年9月27日木曜日

Old school/New school? I.P.A

「I.P.A(アイ・ピー・エー)」というビールの種類をご存知ですか?

「India Pale Ale(インディア・ペール・エール)」の略なのですが、
ルーツをたどると....




その昔、イギリスが大英帝国と呼ばれた時代。


世界中に植民地を持ちビールも輸出されてました。

しかし当時は飛行機などないので
貿易はもちろん航路か陸路。

インドやシンガポールといったアジアの国々までも
長い航海を経て、イギリス産のビールが輸入されてたそうです。

しかし、船でイギリスからインドまでといったら
どうしたって熱帯地方を通ります。

冷蔵技術なんてなかった当時。
長い航海の末に、酸っぱくなってしまったビールも多かったことでしょう。

そこで、イギリスの醸造家たちは、
長い航海に耐えられるよう、アルコール度数を高めにし、
防腐効果を持つホップをふんだんに使ったビールを造り出しました。

ホップの苦味とフレーバーがよく効いたこのビールは、
「India Pale Ale」と呼ばれるようになり....


というのが、「I.P.A」の由来の通説です。


日本では、あまり馴染みのないスタイルですが、
とにかく、苦味のしっかり効いたビールです。

:::↑これがいわゆる「English I.P.A」。トラディショナルなイギリス式。:::



そして、このアイピーエー、アメリカに渡りまったく別の進化をとげました。

ここ2〜30年でクラフトビール革命の起きた国アメリカ。

独自の品種のホップもたくさん生まれ、
 特に柑橘系の香りを持つホップたちが、多くのCraft Breweryに好まれました。


この柑橘系のアメリカンホップと、I.P.Aが出会ったとき。
しかもこれまでの常識以上の大量のホップが投入され。

「American I.P.A」という新たなビールのジャンルが生まれました。


グレープフルーツのような、ホップのアロマとフレーバーが
口から鼻へと突き抜け、同時に強烈な苦味が襲ってくるという感じが
まさに新体験!

"Hop Juice"って感じです。

けっこう強烈なので、一杯目に飲むのはあまりおすすめしませんが
(まあ好みなんで、何でもアリですが)、
いちど味をしめると、2杯目3杯目くらいには
この強烈なのをどうしても飲みたくなってしまうとか。

これは完全にホップ中毒的な。。

「Hop Heads」という言葉もあるのですが、ホップジャンキーみたいな人、
どんどん日本でも増えてます。



このアメリカンI.P.Aに比べると、イングリッシュI.P.Aも
かなり上品に感じられてしまうような。


もちろん、どちらにも良さがあるんですけどね。


さしずめ、I.P.Aのオールドスクールとニュースクール。

Hop heads、この辺りにもぜひ増えてほしいです。










2012年9月23日日曜日

比重と発泡

今週は二回仕込みまして、
火曜日がAmalliro hopの効いたPALE ALE。
水曜日はPORTER。

黒い麦汁"PORTER"。コーヒーさながらの色とロースト香♪♪♪

着々と発酵も進んでおり、
左がPORTER、右がPALE ALE。
まだ濁りまくりですが、徐々に澄んできます。


「比重」を計るためサンプルを。



(ビールの醸造では、)
比重というのは、簡単に言うと液体にどれだけ糖分が
含まれているかを示す数値。


「”酵母”が糖分を食べて、アルコールと炭酸ガスを作る」と
いうのが、発酵の基本です。


ですので、比重は発酵の進み具合をよく表してくれます。



比重計という釣りのウキみたいな道具を使うのですが、


こちらは仕込んだ当日、発酵前の麦汁。
比重計は 1.059 あたりを指してますね〜。

(ちなみに仕込んだ麦汁のこの数値が高いほど、
糖分が多く含まれている=アルコールがたくさん作られる
ということで度数の高い/ボディの強いビールができます)





そして、こちらは仕込みから一週間弱が過ぎ、
発酵も終盤にさしかかった麦汁。



比重計の数値は、1.012 へと下がってます。
これはその分だけ糖分が食われて、アルコールに変わったことを
示していると。




ここまで来ると、そろそろケグ(樽)詰め。


そしてケグの中で二次発酵。


ここでもひと手間加えてやり、樽の中でも酵母に頑張ってもらうと、
前述したように「(アルコールと)炭酸ガスが作られる」
ので、
樽内に閉じ込められたビールにガスが溶け込み、
あの泡になるのです。


これが二次発酵の自然発泡スタイル。


大手のビール等は工業的に炭酸ガスが注入されています。

それが良いか悪いかはさておき、
酵母の力だけでできた自然発泡な泡のほうが、
魅力的だな〜と思うわけです。


自然発泡というとシャンパンが思い浮かばれますが、
自然発泡のビールの泡も負けてません。


種類によって色々ですが、ときにクリーミーできめ細やかだったり、
ピチピチと口の中で弾けるような泡だったり。


工業的に炭酸ガスが添加されたビールは、
だいたいぬるくなって気が抜けると飲めたもんじゃなくなってきますが、
自然発泡のクラフトビールだと一杯にたっぷり時間をかけても
温度の変化とともに色んな表情が現れてきて、、、



これからの、秋の夜長の季節にはピッタリですね♪


(たぶん、10月の中頃からは販売できると思いますので。。。)




↑写真は、採取するときに酵母の混じり過ぎてしまった
サンプル。
下に沈殿してる茶褐色のクリーム状のが”酵母”です。






2012年9月19日水曜日

BREW DAYS!!!

昨日、今日は仕込みdays♪



昨日は僕の大好きな"Northern Brewer"と"Amarillo"というホップを
ふんだんに使って。



今日はというと、


ご覧のとおり、黒色っぽい麦芽を。

この焦がした麦芽を使うと、いわゆる黒ビール的な
濃色なビールが出来上がります。

しかし”黒ビール”という呼び方は日本だけで使われるもの。
黒いビールの中にも、"STOUT"や"PORTER"、"Schwarz"など色んな種類が
あります。

ビールを楽しむのに堅苦しいことは不要ですが、
黒ビールという言葉で一括りにしてしまうのは勿体ない!?


今日仕込んでいるのはPORTERというスタイルに近いです。

とは言え今日のレシピ、
スタイルに忠実にというわけでなく、かなり自分好みの
アレンジなので、"PORTER"の厳密な定義からは外れます。


このビールの行き先は、かねてから約束してくれていた
友人のART SHOWのレセプションパーティー。

きっとエクスペリメンタル(実験的)な空間となっているはずなので、
ビールの方も実験的に!



飲まれるシチュエーションをいろいろイメージしながら
レシピを考え、仕込み中。

想像力を掻き立てられるのって、楽しいです♪



それと並行して
先週仕込んだビールたちの樽詰めなども。





発酵タンクからケグ(樽)へと移して、ここから二次発酵してもらいます。
その後しばしの熟成が済んだら、いよいよ出荷オーライ♪





あと10日くらいです。






2012年9月16日日曜日

WaterMelon Pale Ale???

冷蔵庫も直り、先週は木・金と連続仕込み♪

少しずつ設備にも慣れてきたものの、
仕込み中は「次なにをやるんだっけ?」と、まだバタバタとやっております。

身体が仕込み動作を覚えるとこまでいけば、もっとスムーズになるかな?



金曜日は、新種の「HBC342」というホップをふんだんに
使って仕込みました。


ビールに使われるホップも交配により、どんどん新種が開発され
味や香りのバリエーションが増えてます。

こちらの「HBC342」は2011年にリリースされたばかりの新種。
(「HBC342」というのは仮称のようで今後正式な名前が決まるようです。ホップには普通「Northern Brewer」とか「Kent Golding」とか「Cascade」「Amarillo」というような名前がついてます)

紹介によると、そのアロマは「mild,pleasant,citrusy and watermelon(!)」と。
直訳すると「マイルドで心地よく、柑橘系とスイカのような(!)香り」。


ホップの持ち味を充分に引き出すには、それ相応の技術とレシピが必要ですので、
今回仕込んだものがどのような味わいになるか、まだちょっと分かりませんが
WaterMelonの香りってすごく楽しみです♪
かすかに香る程度とは思いますがね〜


色んな種類、味わいのホップがあり、
ビールのスタイルによってホップの効かせ具合も様々ですが、
ホップのよく効いた”Hoppy"で"Juicy"なビール、僕は大好きなんで
いろいろ試したいと思います!
ぜひ一度ご体験を。



昨日土曜日は急用で愛知へ赴き、工場を留守にしたのですが、
今朝工場に来て真っ先に発酵室をチェックしてみると、、、



ブクブクと元気良く発酵始まってました♪♪

これ見るとホッとするんです。






仕上がりが、楽しみ!







2012年9月13日木曜日

冷却機復活!!!

ドライアイスを買いに通うこと計5日。
ようやく、今日冷蔵庫が復活しました!

結局、室外機ごと丸々交換。。。

今はちゃんと冷えてますので一安心ですが、
また同じことが起きたらと思うとゾッとします。
(起きないことを祈ってますが)

こういう機器は信頼感が大切ですね。
メーカーの対応もあまり芳しくなくヤキモキしたのですが、
さっそく本日16時頃より仕込み開始しております!


仕込めなかった期間はドライアイスを買う以外に、
チョコチョコと設備に手を入れ、環境整備。


モルトミル(麦芽を粉砕する機械)を電動化。
前回は手回しで麦芽を挽いたのですが、量も量ですし、腰痛も
あったのでチト辛かった。。

支脚をつけて、ドリルをつなげただけですが快調♪快調♪

あっという間に
本日の仕込み分が。


ちなみに、今日は前回のレシピに微調整を加えて
もうちょっと精度を向上させます。

仕込み、やっぱ楽しいです♪





2012年9月9日日曜日

Trouble...!!!【早速】

9月6日木曜日、初仕込み行ないました!

酒造りに吉日

しかしながら初めて使う道具たちでバッタバタ。

午前中から準備を始めたのですが、最初の行程である
モルトミル(麦芽粉砕器)のセットアップに大幅に時間を取られ、
その後は割とスムーズに進んだものの、
片付け終わったのは深夜12時。
腰痛もあいまってヘトヘトに。

ですが、充実感のある疲労♪♪

帰って飲んだビールが美味かった。



バタバタすぎて仕込み中の写真はこれ一枚。
仕込み終盤にサイトグラスを通過する麦汁。
いろいろな段階を経て初仕込みまで辿りつけたことが、なんだか嬉しかったです♪


翌朝(金曜日)工場に来ると、ボコボコと元気よく発酵が始まっておりました。

まずは一安心♪



だったのですが、、、


金曜の夕方にトラブル発生!!!

冷蔵室からなにやら警告音が鳴り、見てみると温度計の表示が
25℃に!

なかに入って冷風の吹出口に手をあててみても、
なまぬるい風しか出てきてません。。。

すぐにメーカーに電話。
何とかその日のうちにサービスマンが来てくれることになり、
少しだけホッとしたものの。。




↑こちらの右の扉が冷蔵室。左の扉が発酵室。

冷蔵室は、出来上がったビールを保管する場所で、こちらにはまだ何も
入ってないので問題ナシ。

ですが、発酵室では仕込んだばかりの1号ビールが発酵中です。
発酵室にも、隣の冷蔵室からの冷気を取り込んで、温度を保つ仕組みになってます。

ということは、当然ですが冷蔵室が冷えないと発酵室の温度も
ドンドンどんどん上がってしまう...。

一般にエールビールの発酵適温は18℃から23℃くらい。
これより高いとビールに変な味がついてしまったり、最悪の場合は
飲めないシロモノに。。。

もうちょい涼しい季節なら良かったのですが、
いまは室温も日中だと30℃以上ありますからね。。。



サービスマンを待つ間、色々なことが頭をよぎりました。

そしてサービスマン到着!

しかし、

色々と一生懸命やってくれたのですが、
結果としては、要部品交換。

そして金曜日のもう夜になっていたため、週が明けて月曜日からの
手配になるとのこと。

故障の原因は、まだ使い始めて数日しか経ってないことからも
メーカーの初期不良とのこと。


トホホな感じでした。


うちの1号ビールが。。。

しかし、これは諦めきれないので、
何とか対策を施すことに。


とりあえず、その晩は氷をたくさん発酵室に置くことに。

翌朝一番で藤沢まで行き、
ドライアイスの塊を購入。


とりあえず、これを発酵室内にぶち込んであります。

今朝も再度藤沢まで。
明日もまた藤沢まで。


ドライアイスのおかげで、なんとか発酵室内は日中でも25〜26℃くらいには
保たれています。


我が子のように心配な第1号のビール。


冷蔵庫が直る火曜日までは、二回目以降の仕込みもお預けです。



しかしながら、
今回は故障ですが、電気に頼る仕組みは脆弱ですね。
製品がまだ入ってなかったのは不幸中の幸いでした。

将来的には、
やっぱ洞窟を掘るとか(地中は温度が一定)、
川の水を取り込んで冷やすとか(川の水も温度が安定)。


そんなことまで頭をよぎった9月初旬。






2012年9月5日水曜日

1st cultivation now!!!

この2〜3日、
たくさんの方から、お祝い、メッセージを頂きありがとうございました!
本当に励みになりますです!

さてさて、しかしながら昨日からまさかの腰痛に見舞われてました。
もともと腰痛持ちではあるものの、今回は特にグキッとやった記憶は
ないのですが、、、
免許が下りて、ホッとしたのもあったのかもしれません。

今朝はまるでぎっくり腰かの如く、布団から起き上がれないほどの痛み。。

本当は今日から仕込みをしたかったのですが、
断念し、藤沢の鍼灸院へ。

鍼を打ってもらったところ見事に回復!
友人に教えてもらって初めて行った所だったのですが、
ナイスな鍼の腕前でした。

ビール業は腰を酷使しますので、今後も
お世話になりそう!?



さてさて、午後から工場に戻り、
明日からの仕込に備え、タンクや機器の分解洗浄を
ひたすら行なってました。


初仕込を前に気が引き締まります。


明日の仕込み用水も準備して。

1st Yorocco cultivation!!!

発酵室では最初の酵母の培養も、始まっております。



いよいよ、明日 1st Brew!!!


どんなビール仕込みましょうか。









2012年9月3日月曜日

【御報告】I got license!!!!!

本日、9月3日(大安吉日)
無事に(ようやく?)発泡酒製造免許が下りました!


手助けしてくれた皆さん、応援してくれた皆さん
ありがとうございます!!!


これで、ようやくスタート地点。

喜び溢れるビールを造れるよう、醸造の道を追求していきたい
と思います。


今後とも宜しくお願いいたします。