2015年3月12日木曜日

Barrels from Okunota Winery!

昨日は少し足を伸ばして、山梨県へ。

"Botanical Beverage Works"の田口さんと一緒に。


行き先はこちら。



甲州市塩山(旧奥野田地区)にある奥野田ワイナリーさん。


目的はこちら!



ワインバレル!


そう、このワインの醸造に使われる木樽を、このたび譲っていただけることに。

写真左のものは、フレンチオークという木でつくられたもの。
右は、アメリカンオーク。


”樽材がワインのフレーバーにもたらす影響”

というのがあって、これは僕なんかがおいそれとは口にできないほど奥深い世界のように思います。




もちろんフレンチオークとアメリカンオークとでは、香りの出方・性質が違うようですし、それも一つの要素として念頭に置いた上で、醸造を進めてゆく。


これは、普通は発酵が終わった後は、ステンレスのタンク・樽に入れて貯蔵→完成とするビールの世界には、存在しない要素です。


そして、その樽材にも様々な種類があり、樽の内側の焦がし具合にもバリエーションがあり、樽の使い回し方(以前にどのようなワインが入っていたかが、その次に満たされるワインのフレーバーに与える影響)にもワイナリーの哲学や指針があり…と、クラクラするような世界です。




ですが、僕のような醸造の端くれに携わるものとしては、この上なく興味深いお話。


畏敬の念を抱かずには居られませんでした。







そして、ビール醸造とワイン醸造の大きく異なるもう一つの点である、葡萄畑へ。



ビールの主原料はモルト(麦)とホップですが、世界中ほとんどのBreweryは、この二点に関して、外部からの購入に頼っています。

モルトは、農家→モルトスター(製麦業者)→Brewery。
ホップも同じような経路でBreweryまで届きます。


対して、ワイナリーは自社畑を持つところも多く、こちらの奥野田さんもそうですが、原料を育てるところからが、醸造までへの一つのプロセスです。


モルトやホップは、収穫後に乾燥させて保存が利くようにしますので、ビールの醸造というのは現代においては一年を通していつ行なうことも可能です。

ビール造りにおいては、Breweyの仕事は、原料が届いたところから始まります。時間軸は仕込み以降→ビールの完成まで。


対して、ワイナリーには仕込み以前の時間軸も存在するのです。
葡萄の枝の芽の出方を見るところ、あるいは剪定作業を行うところから、醸造というプロセスが始まっているのです。

しかも葡萄を収穫してすぐに仕込みますので、一年で仕込みを行なうのはその時期の数回のみ。

その年の天候や、葡萄の樹齢、土の質などなど、他にも様々な要素があるのでしょうから、1本のワインができるまでの過程とそこに込められる「要素」や「思い」といったら…


一つの飲み物として、畏敬の念が尽きません。


まだ冷たい風の吹く葡萄畑で情熱のこもった、それでいて、自然現象と向き合っている人特有の爽やかさを帯びたお話を伺っていると、なんだか背筋の伸びるような思いのした一日でした。



奥野田葡萄酒醸造さま、そしてこのご縁を取り持ってくれた田口さん、ありがとうございました!


Barrelを運ぶのは、とてもエキサイティングなこと!


バレルは夜遅くに逗子に無事に到着。

諸事情により、すぐにビールを満たすことはできないので、しかるべき処置をしてしばらく保管です。

ビールを満たす日が来たら、もちろんその模様をお伝えしますね!