2018年3月29日木曜日

"Back to Back"!!!




 「一緒にビール作ろうか?」

佐藤さん(志賀高原ビール)から、そんな連絡が来たのは、1月の半ばくらいでした。


 その少し前に、今年のSNOW MONKEY BEER LIVEへ誘っていただいていて、舞い上がっていた最中でした。どうせ初参加するなら、SNOW MONKEY用で何かコラボのビール作ろうぜっていう佐藤さんからの温かな提案。だけどあのときの「ドキッ」とした感じは、一生忘れない気がします。




時を遡ること約4年半…。2013年。



僕は志賀高原ブルワリーを初めて訪問しました。
仲の良かった田口さんに連れていってもらい、志賀高原ビールの「収穫祭」に 参加したのでした。
といっても、ただビール飲んでただけですけど。




 今はKBC(京都醸造)のクリスに初めて会ったのもこの時でしたし、


T(車×3)さんのブルワリーツアーで志賀山文庫(現THE FARMHOUSE)から醸造所までピストン移動したり、


松澤さんの料理に舌鼓を打ったり、





翌朝は、人生でもトップ10に入るくらいの二日酔いでしたが、佐藤さんにブルワリーを案内して頂いたり、城端の山本さんと、憧れのバレルルームを見せてもらったり、いま思い返しても、なんとも貴重な時間を過ごさせてもらったのでした。

忘れられない思い出です。


当時のブログに、そのときのことを記しています。なんだか青臭くて照れくさいような文章ですが…
http://www.yorocco-beer.com/2013/11/a-visit-to-north-great.html



「ゆるぶる」にも、僕の間抜け顔が…
http://slowbrewing.blog104.fc2.com/blog-date-201311.html#2398



このときが、佐藤さんとの初対面のとき。



当時のブログからも、僕がどれだけ志賀高原ビールから影響を受けたかということは伝わるかと思うのですが、そんな僕らが数年後に、憧れの志賀高原ビールとコラボしてビールを造るということなんて、全く想像だにしてませんでした。



音楽で言ったら、憧れのミュージシャンと一緒にスタジオに入るような感じです。

もちろん嬉しさはありましたが、それ以上に緊張というか、内心ではビビりまくりでした。だって、憧れのあの志賀高原ビールですよ。うちなんかに、何ができる?



ともかく、内心ではビビりながらも、佐藤さんとコラボについて話は進んでゆきます。


佐藤さんもよく書かれていますが、僕らにとってもやはり「コラボ」って特別です。

とくに海外だと、挨拶代りや、話題集めがメインの目的みたいなコラボもあって、それはそれで悪いことだとは思わないのですが、僕らがやるなら、がっつり両者のスタンスやポリシー・特徴がミックスされたものにしたいという思いがありました。



僕が思う、志賀高原ビールとヨロッコの共通点の一つ、「原料愛」。
あと、それとも通ずるのですが、セゾンもしくはファームハウススタイルへの愛。
(断っておきますが、うちなんかより志賀高原ビールさんの方が、全く以て先を行っているという前提で)



ビールに使う副原料に対し、志賀高原ビールは明確なスタンスを持っておられます。

それは、原則として自分たちで栽培したもの(もしくは近所で穫れたもの)しか使わないということです。


コラボのお話をいただいたのは、1月の半ば。
こちら(逗子あたり)では、柑橘のシーズンです。


前にも書いてますが僕は「ゆるブル」 のヘビーな読者なので、志賀高原ビールが過去に作ったビールはだいたい知ってるつもりなのですが、はて、思い返しても柑橘を使ったビールはなかったような…。


それもそのはずで、長野は逗子よりかなり北なので、柑橘はほぼ穫れないということで、イコールこれまで柑橘を使う機会がなかったはずだと。


だったら、今回のコラボは柑橘がいいじゃん!ということで、アイデアをしたためて佐藤さんに伝えたところ、「やろう!」とのご返事。


ですが、ヨロッコの1バッチ(一回のビールの仕込量)が約240リットルであるのに対し、志賀高原ビールの1バッチはおよそ3000リットル!!


柑橘だって、いつもの10倍以上が必要ってことになります。

どうやって調達する??



こんなとき、頼れるものは地元の仲間ということで、いつも夏みかんを穫らせてもらっている友人の実家の裏山的な場所へ行くと、




B2B Tree!


背丈は電柱を越えそうな、たわわに実をつけた1本の木が。


 交渉してオッケーを貰い、またすぐに佐藤さんに連絡。
このコラボを通して、佐藤さんと何通のメールをやり取りしたかは数えきれません。


ここからは製法(柑橘をどう使うか?など)とレシピの吟味。


最初の時点で決まっていたのは、「夏みかんを使ったセゾンスタイルのビール」ということだけ。

そこに、どう肉付けしていくかというのが、コラボの真骨頂の一つだと思います。

毎回僕なりに熟慮して考えを投げかけて、それを佐藤さんがキャッチしてくれ、また更に踏み込んだアイデアになって返ってきてという、スリリングだけど、興奮度の高いキャッチボール。



実際の夏みかんの収穫だって、僕らでやりますよって言ったのに、わざわざ逗子(収穫地は葉山)までいらしてくれて。







 このとき、ヨロッコのブルワリーにも少し立ち寄ってもらって、一緒に夏みかんを計量し(なんと、当初100kgを見越してましたが、実際に穫れた量は220kg!!)、その後、すぐに梱包して、長野は志賀高原のブルワリーへ発送。


佐藤さんと、うちのみんなで遅めの昼食を逗子で食べ、一旦お別れし、またすぐ次の日に今度は志賀高原のブルワリーで会うという笑。


もう、楽しくて、嬉しくてしかたなかったです。















1日目は、届いた夏みかんをみんなで下処理。
志賀高原ビールと玉村本店(酒蔵)のみなさんも登場して。

最初は下処理も全部僕ら(ヨロッコ)でやりますよなんて佐藤さんに言ったのですが…ハハハ。ぼくの考えが甘かったです。

多い時には、7〜8人がかりで、やったのですが、それでも初日に下処理できたのは半量くらい。

その間も、並行して通常の仕込み作業は進んでいるので、その辺りもいろいろレクチャーして貰いつつ。
それだけでも、ブルワーとしては、ものすごい情報量なのです。



夏みかんの果皮を剥いて、果汁を搾るというのは、単純だけどなかなかの重労働です。しかも220kg! 手首が痛い。。

途中、気が折れそうになるときも、志賀高原・玉村本店の皆さまとのしょうもない?冗談話で何とか乗り越えられたような(三宅さん、本当にありがとうございました!)。


ただ、そうした作業中も、スノーモンキー当日に向けて、さまざまな話し合いと手配が進んでゆくのが印象的でした。 


作業を終えたあとの、THE FARMHOUSE(志賀高原ビールのタップルーム)でみんなで飲んだビールが美味かったこと。

夜中にブルワー大庭くんと入った共同湯も、忘れられません。










翌日の仕込み本番を無事に終え、帰り道のなんとも高揚した気持ちも忘れがたいのでした。





その後も、経過についてのやり取りは続きましたが、基本的には僕らがタッチしたのは仕込みの日までで、その後は志賀高原ビールの皆さんが、このビールを育んでくださいました。

http://slowbrewing.blog104.fc2.com/blog-entry-3999.html
詳しくはこちらを↑












"BACK TO BACK"という名前も、THE FARMHOUSEでの夜に決まったような記憶。


ビールの名前や、ボトルデザインについてのやり取りだけでも、相当に楽しかったのが今回のコラボです。








ビールの仕上がりとともに、いよいよ迎えた”SNOW MONKEY BEER LIVE 2018"。

僕らはこのとき初めて、このビールを口にしました。

OPEN前に佐藤さんと。


BACK TO BACK!  嬉しくて、志賀高原のブースに行っては、こればっか飲んでました。








この2日間は、夢のような時間でした。
轟さんとBACK TO BACKで乾杯した瞬間とか最高だったなあと今でも想います。



終わったあとも、2日間ほど志賀高原に残っていました。

シカゴから来ていたPIPE WORKS BREWINGとのコラボを見学しながら、佐藤さんにホップ畑や酒米の田んぼ、酒蔵、はては◯◯◯予定地まで案内してもらったり。

僕らより、絶対疲れているはずなのに、そんな様子を微塵も見せない佐藤さんは、この頃から僕の中で「超人」的な存在に。




結果として、スノーモンキーの会場でも、この”BACK TO BACK”は大好評で、ボトルもたくさんの方が買ってくださって、本当に嬉しかったのです。心のなかでガッツポーズしてましたよ。


もちろん、僕自身もスノーモンキーでもTHE FARMHOUSEでも、帰りの電車でも、そして自宅でも、何度も飲んでますが、夏みかんの果皮や果汁の様々な味わい、スペルトなどの穀物の味わい、そして志賀高原らしいホップの味わい、色んな要素が絡み合っていて、飲む度に発見があるし、本当に飲み飽きしないビールだと思います。



ヨロッコだけで作ったら、もっと単調なビールになっていたでしょう。
志賀高原のブルワリーシステムはうちよりだいぶ巨大で先端的で、パソコンで操作したりするんですが、だからってSOULが薄れることないのは、それを操る人が本気だからで、本当に細かいとこまで気が回っていて、それっていうのはこれまでずっとビールと向き合ってきた人だからこそできることで。
佐藤さんの昔話も今回いろいろ聞けたりして、スタートアップの頃は、うちとあまり変わらないような部分もあったりで。


志賀高原ビールのエッセンスが、今回のコラボビールにもたくさん詰まっていて、本当にその経験の深さとレシピの精密さと大胆さと、それを実現する技術力とチームワークと…って挙げていくとキリがないんですが、 そんなもの全てが一筋通ったブルワリーのスタンスとなって体現されているんだなあと。
うちなんて、まだまだヒヨッコだあ!とおもった次第です。当たり前だけど。


そして、僕みたいな小僧がいろいろと無配慮なことを言ったりするんですが、そんなのも引っくるめて受けとめてくれる佐藤さんってかっこいいよな〜と、僕もそんな「大人のおとこ」にいつかなれるんだろうか?


と最後のは余談ですが、およそ2か月くらいに及んだ今回のコラボレーションで、いちばん嬉しかったことは、「志賀高原ビールのみんなと一緒に美味いビールを造れたこと」!


何じゃそれって思うかもしれませんが、ふだんは自分たちだけでビールを造っていて、それでも美味いもの・いいものが造れたときは十分に嬉しいのですが、だれかと一緒になって やれたときは、もっともっと嬉しくて、その喜びも分かち合えて、倍増するような感じです。


あ、そういうのがコラボレーションってことなんだっけ?


 そんなコラボの喜びと、プロセスの楽しみ。
僕らみたいな小さく若いブルワリーをフックしてくれて、そんなチャンスを与えてくれた「SNOW MONKEY BEER LIVE」と志賀高原ビールのみんなと佐藤さんに、本当に感謝です。

一生の宝物みたいな経験でした。


また、いつかやれたらいいな!







今週土曜日が、一旦その締めくくりで、逗子での"BACK TO BACK"リリースパーティ。



ヨロッコタップルームにて。

 "BACK TO BACK"の樽はもちろん、他にも志賀高原ビールの樽もあれやこれやが繋がります。

DJには、スノーモンキーでも一緒だったホテルニュートーキョーの今ちゃん。

そして志賀高原ビールの佐藤さん!

前座はわたくしが務めさせていただきます。はやく選曲しないと!

本当にBACK TO BACKできるかも?

この日は、楽しみますよ。
みなさんぜひとも!




The FARMHOUSEでB2B




 一旦その締めくくりって書いたのにも訳があって、木樽にも何樽か入ってるんです、こんかいのビールが。



佐藤さんと僕らとの縁を繋いでくれた田口さんのスピリットとともに。今回のコラボもなんだか彼に導かれたような気がしてならないのです。


愛着と、想い入れたっぷりのこのバレルたち。

製品化まで1年なのか2年なのか分かりませんが、どう化けるのか楽しみです!


そうそう、楽しみは引っぱって引っぱって、あいだに色んな要素を詰め込んで、先に引っぱるほど楽しいんだよな〜というのも、こんかいの一連の体験で教わったような。
本気で遊ぶって大変です。









宴席で、めちゃくちゃ美味しく頂いたお酒。玉村本店の「縁喜」。




 B2Bの仕込みで伺ったときに、佐藤さんがお土産でくれた"縁喜"の酒粕と、山伏。酒粕をトーストして合わせたのですが、この組み合わせは、かなりの新体験でツボでした。よく考えたら、おなじ酒米を使ってるんだから当たり前なのかな〜。only in Japanだと思います。




オマケ。うちのモンキーと。

















 最後になりますが、玉村本店/志賀高原ビールの佐藤さん、轟さん、松澤さん、佐々木さん、大庭くん、中村くん、北條くん、三宅さんを始め皆々様、The FARMHOUSEの皆さま、
ほんとうにありがとうございました!
またすぐに遊びに行きます!

そして、夏みかんを提供してくれたコージくんと、
ボトルの題字を提供してくれたケミーくんにも大感謝を。